十二月大歌舞伎 千穐楽 |

2007年の見納め。十二月大歌舞伎の千穐楽を昼夜通しで見ました。
←師走の歌舞伎座。すでに巨大な門松が飾られていました。
昼の部
鎌倉三代記
福助さんの時姫、三津五郎の佐々木高綱、橋之助さんの三浦之助義村。
三姫の一つ、時姫。初めて見たかな? 好きな人を追って敵方に飛び込む活動的なお姫様が福助さんにお似合いでした。
信濃路紅葉鬼揃
新歌舞伎十八番の『紅葉狩』とは違い、能の『紅葉狩』を玉三郎さんが歌舞伎に仕立て直した舞踏劇。玉三郎さんはじめ、門之助さん、吉弥さん、笑也さん、笑三郎さん、春猿さんが鬼女を、海老蔵さんが平維茂、勘太郎くんが山神を演じます。
松ばめの舞台と、能衣裳の鬼女たち。能の一幕を見るような、荘厳な舞台でした。
水天宮利生深川 筆屋幸兵衛
先代勘三郎丈の当たり役だった船津幸兵衛を、当代勘三郎さんが初役で勤めます。
明治18年初演、河竹黙阿弥の「散切物」の代表作。武士にとっての激動の明治に、不器用に生きる元武士の物語。鶴松演じる盲目の娘お雪に泣かされました。

夜の部
菅原伝授手習鑑 寺子屋
松王丸を勘三郎さん、千代を福助さん、源蔵を海老蔵さん、そして戸浪が勘太郎さん。
勘三郎さん福助さんの源蔵・戸浪夫婦に、仁左衛門さん玉三郎さんの松王夫婦の印象が強いので、世代交代の感がある今回の寺子屋。海老蔵さん、勘太郎さんの源蔵・戸浪は、若すぎるのでは?と思っていたのだけど、なかなか、フレッシュな雰囲気で好印象でした。
粟餅
三津五郎さんと橋之助さんの、楽しい舞踊でした。
ふるあめりかに袖はぬらさじ
有吉佐和子原作、玉三郎さんの芸者お園であたりをとった舞台を、初めて歌舞伎で再演。岩亀楼主人の勘三郎さん、通辞藤吉を獅童さん、遊女亀遊を七之助さんをはじめ、イルウスを彌十郎さん、唐人口マリアを福助さん、浪人客や思誠塾塾生など、端役を三津五郎さんや海老蔵さんなど、そうそうたる名代役者が演じる贅沢な舞台です。
俳優際?みたいな福助さんのマリアや、儚げな七之助さん、世の中に翻弄されていく芸者お園、弱い立場の女たちの生きざまが印象的でした。
この日は千穐楽。幕が閉まっても拍手は鳴りやまず、カーテンコールで幕が開くと、舞台中央に正座した玉三郎さん。劇場の三方に深々とお辞儀をして、深い余韻を残しながら、千穐楽の夜はふけていったのでした。