2007年 05月 18日
怒濤の歌舞伎鑑賞 歌舞伎座→新橋演舞場 |
新橋演舞場で吉右衛門さんが歌舞伎をやるようになってから、5月は歌舞伎鑑賞が忙しいこと……。
ということで、今年もやっちゃいました。歌舞伎座と新橋演舞場、1日ではしご鑑賞の日。
おかげで、畑づくりで痛めた腰がまた痛い……。でも、いいんだもん。面白かったから♪
まずは、歌舞伎座。團菊祭五月大歌舞伎 昼の部
泥棒と若殿
泥棒に松緑さん。若殿に三津五郎さん。二人とも、とってもいい味出してました。
不運の大名家の若殿と、人のいい泥棒の間に芽生える心の絆を描いた物語。
この泥棒、あまりにも運がなかったがために泥棒をするところまで身を落としてしまったのだけど、よい伴侶、守ってやりたい、と思えるような伴侶にめぐり合っていたら、きっと幸せな人生を歩んだんだろうなぁ。やっとめぐり合えた「守ってやりたい」と思える人物が若殿だったところが、なんともおかしくも悲しくて。いい世話ものでした。
勧進帳
團十郎さんの弁慶に、菊五郎さんの富樫、梅玉さんの義経。
勧進帳はしょっちゅう見ているけれど、團菊コンビで見るのは初めて。やっぱ違ったもんだなぁ!と感心しきり。
ちょっとしたしぐさに、それぞれの感情が滲み出ているようで、勧進帳にここまで深みを感じられたのは初めて。ついでに、勧進帳を見ていて眠くならなかったのも初めてだったと、白状しましょう。
与話情浮名横櫛
海老蔵さんの与三郎に菊之助くんのお富。海老さまの切られ与三、素敵だろうなぁと、期待大で見に行ったのですが……。
まずは、「木更津海岸見染の場」。海老さまのつっころばしってどおよ?と思ったのだけど、これは意外と(?)いい感じ。
転じて「源氏店」。ビュジュアル的には◎です! が、しかし。せりふをしゃべりだしたら、なんだかとっても気持ち悪い。なぜだぁ~。創りすぎなのかなぁ。なんか妙な節回しが違和感満載。「え~、御新造さんへ、おかみさんへ~」の決めゼリフも、なんだかなぁ。「そういうお前は?」のお富はGoodだったのだけど。
海老蔵さんって、「歌舞伎界の宝」だの「100年に1人の逸材」だのいわれています。それは多分、彼が歌舞伎役者として考えられる限りのよい材料を持ち合わせているから。顔がいい、大きくて白目がちの目がいい、顔が大きいところもいい、背が高い、声もいい、声量もある。成田屋の長男に生まれたことも、歌舞伎役者にとっては最高の素質です。
彼は「天材」だと、私もかねがね思っておりました。「天から材料を恵まれている人」。
新之助時代には、こんないい子が現れた!というだけで十分だったのが、海老蔵を襲名して、30歳近い年齢になって、その材料をどう活かしていくのかが問われる段階にきているのだと思います。
月替わりでワイドショーを賑わしているけれど、芸のこやしになるなら、週替わりでも日替わりでもOK。でも芸のこやしになってないなら、諸先輩方に教えを請う時間を増やした方が……なんて、余計なことを考えてしまう切られ与三でした。
女伊達
女伊達木崎のお駒を芝翫さんが務める短い舞踊劇。
芝翫さんの後見に芝のぶちゃん。すっぴんにきっちり七三の芝のぶちゃんについつい注目してしまう一幕でした。
そして、新橋演舞場へ。五月大歌舞伎 夜の部
妹背山婦女庭訓 三笠山御殿の場
お三輪に福助さん、烏帽子折求女に染五郎さん、橘姫を高麗蔵さん、鱶七は吉右衛門さん。
見たかったんです! 福助さんのお三輪!
可愛らしくて、いじらしくて、でも女の執念をしっかりと見せる、素敵なお三輪でした。満足!
法界坊
吉右衛門さんの法界坊、要助に錦之助さん、おくみは芝雀さん、道具屋甚三に富十郎さん、そして、野分姫に染五郎さん!
これも楽しみだった一つ。勘三郎&串田和美コンビの法界坊は何度も見ているけど、こっちが本家本元。本家もこんなに面白かったんだと意外な発見がいっぱいありました。
吉右衛門さんって、あまりにも立派な役者さん、というイメージが強くて、吃又とか紅長では、正直違和感があったのですが、ここまで汚れると返って違和感なく楽しめました(←なんちゅう感想や)。
野分姫の染ちゃん。赤姫姿がとっても綺麗! さすがに女形ではないので、声は苦しそうでしたが……。
双面を染ちゃんがやったのも大正解! 野分姫の時には女らしく、同じ格好なのに法界坊になると全身から男らしさがみなぎって、体も一回り大きく見えちゃうあたり、歌舞伎ならではの楽しさですね。
ということで、今年もやっちゃいました。歌舞伎座と新橋演舞場、1日ではしご鑑賞の日。
おかげで、畑づくりで痛めた腰がまた痛い……。でも、いいんだもん。面白かったから♪
まずは、歌舞伎座。團菊祭五月大歌舞伎 昼の部
泥棒と若殿
泥棒に松緑さん。若殿に三津五郎さん。二人とも、とってもいい味出してました。
不運の大名家の若殿と、人のいい泥棒の間に芽生える心の絆を描いた物語。
この泥棒、あまりにも運がなかったがために泥棒をするところまで身を落としてしまったのだけど、よい伴侶、守ってやりたい、と思えるような伴侶にめぐり合っていたら、きっと幸せな人生を歩んだんだろうなぁ。やっとめぐり合えた「守ってやりたい」と思える人物が若殿だったところが、なんともおかしくも悲しくて。いい世話ものでした。
勧進帳
團十郎さんの弁慶に、菊五郎さんの富樫、梅玉さんの義経。
勧進帳はしょっちゅう見ているけれど、團菊コンビで見るのは初めて。やっぱ違ったもんだなぁ!と感心しきり。
ちょっとしたしぐさに、それぞれの感情が滲み出ているようで、勧進帳にここまで深みを感じられたのは初めて。ついでに、勧進帳を見ていて眠くならなかったのも初めてだったと、白状しましょう。
与話情浮名横櫛
海老蔵さんの与三郎に菊之助くんのお富。海老さまの切られ与三、素敵だろうなぁと、期待大で見に行ったのですが……。
まずは、「木更津海岸見染の場」。海老さまのつっころばしってどおよ?と思ったのだけど、これは意外と(?)いい感じ。
転じて「源氏店」。ビュジュアル的には◎です! が、しかし。せりふをしゃべりだしたら、なんだかとっても気持ち悪い。なぜだぁ~。創りすぎなのかなぁ。なんか妙な節回しが違和感満載。「え~、御新造さんへ、おかみさんへ~」の決めゼリフも、なんだかなぁ。「そういうお前は?」のお富はGoodだったのだけど。
海老蔵さんって、「歌舞伎界の宝」だの「100年に1人の逸材」だのいわれています。それは多分、彼が歌舞伎役者として考えられる限りのよい材料を持ち合わせているから。顔がいい、大きくて白目がちの目がいい、顔が大きいところもいい、背が高い、声もいい、声量もある。成田屋の長男に生まれたことも、歌舞伎役者にとっては最高の素質です。
彼は「天材」だと、私もかねがね思っておりました。「天から材料を恵まれている人」。
新之助時代には、こんないい子が現れた!というだけで十分だったのが、海老蔵を襲名して、30歳近い年齢になって、その材料をどう活かしていくのかが問われる段階にきているのだと思います。
月替わりでワイドショーを賑わしているけれど、芸のこやしになるなら、週替わりでも日替わりでもOK。でも芸のこやしになってないなら、諸先輩方に教えを請う時間を増やした方が……なんて、余計なことを考えてしまう切られ与三でした。
女伊達
女伊達木崎のお駒を芝翫さんが務める短い舞踊劇。
芝翫さんの後見に芝のぶちゃん。すっぴんにきっちり七三の芝のぶちゃんについつい注目してしまう一幕でした。
そして、新橋演舞場へ。五月大歌舞伎 夜の部
妹背山婦女庭訓 三笠山御殿の場
お三輪に福助さん、烏帽子折求女に染五郎さん、橘姫を高麗蔵さん、鱶七は吉右衛門さん。
見たかったんです! 福助さんのお三輪!
可愛らしくて、いじらしくて、でも女の執念をしっかりと見せる、素敵なお三輪でした。満足!
法界坊
吉右衛門さんの法界坊、要助に錦之助さん、おくみは芝雀さん、道具屋甚三に富十郎さん、そして、野分姫に染五郎さん!
これも楽しみだった一つ。勘三郎&串田和美コンビの法界坊は何度も見ているけど、こっちが本家本元。本家もこんなに面白かったんだと意外な発見がいっぱいありました。
吉右衛門さんって、あまりにも立派な役者さん、というイメージが強くて、吃又とか紅長では、正直違和感があったのですが、ここまで汚れると返って違和感なく楽しめました(←なんちゅう感想や)。
野分姫の染ちゃん。赤姫姿がとっても綺麗! さすがに女形ではないので、声は苦しそうでしたが……。
双面を染ちゃんがやったのも大正解! 野分姫の時には女らしく、同じ格好なのに法界坊になると全身から男らしさがみなぎって、体も一回り大きく見えちゃうあたり、歌舞伎ならではの楽しさですね。
by chiharu-N413
| 2007-05-18 11:13
| 歌舞伎