2007年 08月 22日
八月納涼歌舞伎 1部・2部 |
納涼歌舞伎1部・2部を見るため、2カ月ぶりに歌舞伎座に行ってきました。なんだか、すごく久しぶりな気がしてしまう自分が怖い……。
第1部
磯異人館
「明治百年」を記念した懸賞演劇脚本の当選作だそうで、初演から20年ぶりの再演。20年前に勘三郎さん(当時は勘九郎さん)が勤めた主役の岡野精之助を勘太郎くんが勤めます。
幕末の薩摩を舞台に、薩摩切り子に情熱を傾ける精之助と、その弟、周三郎(松也)、琉球の王女・瑠璃(七之助)、集成館総長の娘・加代(芝のぶ)の恋模様に、4年前の生麦事件やら、巴里万博やら、英国人技師やらがからむ物語。
哀しい幕切れなのだけど、さわやかな感覚が残るのは、若い役者さんたちの熱演のたまもの。特に、勘太郎くんが光る舞台でした。
越前一乗谷
水上勉が初めて書き下ろしたという舞踊劇。
越前朝倉氏の滅亡劇が、義景(橋之助)の妻小少将(福助)の回想で展開していきます。
実は学生時代、水上勉にはまったことがあるので、とっても楽しみにしていた舞台。
すっきりとした大道具、歌舞伎では珍しい八百屋舞台、物語性豊かなストーリーに引き込まれました。
特に、織田VS朝倉の戦闘を舞踊で見せるところが、ものすごく面白かった。
そこはかなとなく漂う無常観は、水上勉ならでは。
勇壮で無情な戦国絵巻と、その時代を生きた女の哀しさが、ストレートに伝わってきました。
舞踊でこんな奥の深い世界が表現できてしまうのか!と、目からウロコが落ちるような思いを味わいました。
第2部
ゆうれい貸屋
第2部はカラッと笑える芝居が2本。
ゆうれい貸家は山本周五郎作の、滑稽な世話物。
どうしようもなくぐうたらな桶屋の弥六(三津五郎)に、辰巳芸者の染次の幽霊(福助)が惚れ込み、仲間の幽霊を集めて、誰かに恨みを持っている人に幽霊を貸し出す商売を始めてしまう物語。
ぐうたらな三津五郎さんも、生き生きとした幽霊の福助さんも、本領発揮!という感じ。
屑屋の又三の幽霊を勘三郎さん。出番は少ないんだけど、この人が出てくると、なんだか場がガラッと変わって、惹きつけられる感じ。やっぱりこの人はすごいなぁ。
カラッと楽しく、でもしみじみと、長屋の息づかいが聞こえて来るような舞台でした。
新版 舌切雀
「今昔桃太郎」に続き、渡辺えり子が脚本を書いた昔話シリーズ(?)第2弾。
場内まっくらな中、清太夫さんの浄瑠璃が響き渡って開幕。ポンと照明がつくと、赤と緑の裃に、緑の頭巾までかぶった清太夫さん(どうやらオウムらしい)。「今度はそこまで……。清太夫さんッ」と、ニンマリ。
舞台中央にしつらえられた雛壇のてっぺんには、鳥の国の王・孔雀王の孝太郎さんと、妻の鶴姫に扮した芝のぶちゃん! こんな雛壇のてっぺんに芝のぶちゃんが立ってるなんて。しかも、ものすごくきれいだし! 幸せをかみしめながら、雛壇に勢揃いした鳥さんたちを眺めまわし、真ん中にいるあの真っ白な人はだれ?と思っていたら、最初のセリフで亀蔵さんだと判明。ププッと笑ってしまいました。
強欲な玉婆に勘三郎さん。いやいや、すごいパワーです。ちょっとドリフを思い出したけど……。
舌を切られた雀は福助さん、玉婆の息子夫婦に勘太郎くんと七之助くん、玉婆の親友・蚊の蚊ヨに扇雀さん、森の賢者の小人に三津五郎さん。
なにも考えず、ギャグにカラッと笑い、ひびのこずえさんの色鮮やかな衣裳を楽しめばいいんだな、とは思うものの、なんか最後の言わずもがななお説教がまだるっこしくて……。「桃太郎」はよかったけど、これはどおよ?と、ちょっとひっかかってしまったことを懺悔しておきます。
第1部
磯異人館
「明治百年」を記念した懸賞演劇脚本の当選作だそうで、初演から20年ぶりの再演。20年前に勘三郎さん(当時は勘九郎さん)が勤めた主役の岡野精之助を勘太郎くんが勤めます。
幕末の薩摩を舞台に、薩摩切り子に情熱を傾ける精之助と、その弟、周三郎(松也)、琉球の王女・瑠璃(七之助)、集成館総長の娘・加代(芝のぶ)の恋模様に、4年前の生麦事件やら、巴里万博やら、英国人技師やらがからむ物語。
哀しい幕切れなのだけど、さわやかな感覚が残るのは、若い役者さんたちの熱演のたまもの。特に、勘太郎くんが光る舞台でした。
越前一乗谷
水上勉が初めて書き下ろしたという舞踊劇。
越前朝倉氏の滅亡劇が、義景(橋之助)の妻小少将(福助)の回想で展開していきます。
実は学生時代、水上勉にはまったことがあるので、とっても楽しみにしていた舞台。
すっきりとした大道具、歌舞伎では珍しい八百屋舞台、物語性豊かなストーリーに引き込まれました。
特に、織田VS朝倉の戦闘を舞踊で見せるところが、ものすごく面白かった。
そこはかなとなく漂う無常観は、水上勉ならでは。
勇壮で無情な戦国絵巻と、その時代を生きた女の哀しさが、ストレートに伝わってきました。
舞踊でこんな奥の深い世界が表現できてしまうのか!と、目からウロコが落ちるような思いを味わいました。
第2部
ゆうれい貸屋
第2部はカラッと笑える芝居が2本。
ゆうれい貸家は山本周五郎作の、滑稽な世話物。
どうしようもなくぐうたらな桶屋の弥六(三津五郎)に、辰巳芸者の染次の幽霊(福助)が惚れ込み、仲間の幽霊を集めて、誰かに恨みを持っている人に幽霊を貸し出す商売を始めてしまう物語。
ぐうたらな三津五郎さんも、生き生きとした幽霊の福助さんも、本領発揮!という感じ。
屑屋の又三の幽霊を勘三郎さん。出番は少ないんだけど、この人が出てくると、なんだか場がガラッと変わって、惹きつけられる感じ。やっぱりこの人はすごいなぁ。
カラッと楽しく、でもしみじみと、長屋の息づかいが聞こえて来るような舞台でした。
新版 舌切雀
「今昔桃太郎」に続き、渡辺えり子が脚本を書いた昔話シリーズ(?)第2弾。
場内まっくらな中、清太夫さんの浄瑠璃が響き渡って開幕。ポンと照明がつくと、赤と緑の裃に、緑の頭巾までかぶった清太夫さん(どうやらオウムらしい)。「今度はそこまで……。清太夫さんッ」と、ニンマリ。
舞台中央にしつらえられた雛壇のてっぺんには、鳥の国の王・孔雀王の孝太郎さんと、妻の鶴姫に扮した芝のぶちゃん! こんな雛壇のてっぺんに芝のぶちゃんが立ってるなんて。しかも、ものすごくきれいだし! 幸せをかみしめながら、雛壇に勢揃いした鳥さんたちを眺めまわし、真ん中にいるあの真っ白な人はだれ?と思っていたら、最初のセリフで亀蔵さんだと判明。ププッと笑ってしまいました。
強欲な玉婆に勘三郎さん。いやいや、すごいパワーです。ちょっとドリフを思い出したけど……。
舌を切られた雀は福助さん、玉婆の息子夫婦に勘太郎くんと七之助くん、玉婆の親友・蚊の蚊ヨに扇雀さん、森の賢者の小人に三津五郎さん。
なにも考えず、ギャグにカラッと笑い、ひびのこずえさんの色鮮やかな衣裳を楽しめばいいんだな、とは思うものの、なんか最後の言わずもがななお説教がまだるっこしくて……。「桃太郎」はよかったけど、これはどおよ?と、ちょっとひっかかってしまったことを懺悔しておきます。
by chiharu-N413
| 2007-08-22 15:14
| 歌舞伎